青木マリ
なぜ
あなたでなければ
いけないのだろう
青い、青い
風の吹く
        


     井上しのぶ
寄せた
と思ったら
もう引いている
波よ
あなたよ



     さとう清美
シーツに
黒い

描く

        


     岡井葉月
私の中の
交響曲
まとめて奏でる
貴方の
笑顔

 

 

     笠 直樹
雨が紫陽花を
きれいにする
傘を持って
微笑むあなたは
ずっと雨

        


     森いづみ
あなたの窓辺に
風揺れる
ここに
一つの
花束置こう


     酒井里子
意外な
涙の量に
人恋う
想いの
深さ知る

        


     中西紫織
心の刺は
向日葵の花が咲く頃
きっと
キュンと
抜けている

 

     潮海ケイ
波打つ
黒髪
肩を越え
深い哀しみ
包み込む

        


     山崎範雄
ここに立てば
心が洗われると
妻が言う
うなずいて仰ぐ
木曽駒ケ岳


 

     諸橋幸子
私の言葉が
心に
降り積もり
幼いあなたの
言葉になるのでしょう

        


     足立和香子
母の痛み
ようやく
分かった
年甲斐もなく
幼な子のように泣く

 

     丸山睦美
おせんべいみたいと
云う孫を
背に
月あかりの
散歩

        


     要田しのぶ
亡き母が
好きだった歌
共に歌って
身代わりの
親孝行

 

     野守ゆき
手のひらの
灰は
日だまりの
匂いがした
いつかの笑顔みたいに

        


     信濃鶴姫
わが子を亡くした
十月
空も木も
きれいな季節で
よかった

 

     大槻凉湖
枯れ葉でさえ
道を舞う時は
命を感じるのに
コスモスの中
眠りつづけるキミ

        


     大橋さゆり
お父さん
お休みなさい
握手して
手を合わす
あたたかい手だった

 

 

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