清水千鶴 二十歳 心に 在った 真っ白な 直線 七色楓花 ほとばしる熱は もう 出ないのだろう つらい事にも にぶくなってきたから |
中奥明子
他の人の 愛ある言葉は 石に刻み 傷ある言葉は 水に書く 夏目祭子 舟は 進むだろう 風雨も 孕む 帆の覚悟であれば |
いまだつかさ
父の悪いところ 母の悪いところ みんな受け継いでる でも、俺は神の子 なんとかなるのだ 永田三枝子 素直がいい 自分に 素直に なれば がんこ になる |
岸本健司
傷を負いたく なかったら 奴隷根性 で 生きるがいい 涼雅さちこ 野良猫 ナイフの 瞳 内側から 私を見る |
中村はじめ
この町は 俺と 握手して くれた 何かを残そう 平川独歩 独り言 呟きつつ 花に水をやる 不器用な 男の太い指 |
佐武 寛
征服者が おびえてきた 歴史 強圧の残忍さに 残されている 宮治 眞 代理母(サルゲートマザー)が 感ずる喜び その喜びは 神の領域を 越える |
谷 流水
平和な 日本列島を 零式戦闘機のように 桜前線が 駆け抜けていく 南風飛鳥 そびえたつ 天守閣 武士の 驕りの 陽炎揺れる |
小沢ひとり
蟷螂が 雄をくらうなんぞ かわいいもの と 夜叉が笑う 橋ちえこ この世の死は あの世の生 銀河の 歌を 昼のこおろぎ |