大賞 井上しのぶ そこからは 新たな 闇の始まり まだ白っぽい セミの羽 |
佳作 神川知子 花びらのような 瞼 動いて 幼な子は 夢の中から 帰って来る 佳作 田中久子 虹を描いたのは 雨だとお日様が言った 七色に輝かせたのは お日様だと雨が言った ――風が聞いていたささやき |
佳作 叶 静游 自らの理性の 極致で 理解する 理解できないことは 静かに敬う 佳作 名塚多香子 生きるのは 心の絵を 仕上げたいから 幼い頃の素描に 色を深く重ねる |
佳作 望月浩子 息子の作業衣から ころがり落ちた 耳栓 二つ てのひらから聴こえてる 工場の残響 |