2、五行歌誕生
五行歌は、「五行歌の会」の草壁焔太(くさかべえんた)主宰が19歳のとき(1957年10月10日)に発案した形式です。
1994年4月、初の五行歌誌『五行歌』が創刊されました。それ以前にも五行歌は、草壁主宰が刊行していた雑誌(『湖上』)などで発表されていましたが、『心の果て』の刊行を機に「五行歌の会」が発足し、本格的な五行歌普及活動が始まったのです。
その後、五行歌を創る人は年々増加の一途をたどり、今ではたくさんの人が五行歌を知るようになり、テレビや新聞、雑誌でも紹介されるようになりました。
いわば平成の新文芸と呼べる五行歌が、多くの人にすんなりと受け入れられたのには、潜在的な理由があるのです。
実は『万葉集』以前の日本人は、行数こそ五行とは限りませんでしたが、五行歌のような自由律で詩歌を詠んでいました。『古事記』や『日本書紀』に収められている「記紀歌謡」がそれです。
口語短歌の流れを汲む五行歌ですが、私たち日本人の言語感覚に働きかけるからこそ、五行歌は従来の文芸愛好者層を越えた、幅広い人気を獲得していると考えられるのです。
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